生前対策(相続対策)の必要性
生前の相続対策というと、健康なうちは実感がわかないものです。
また、「お金持ちだけに必要なこと」という印象もあるかもしれません。
ところが、平成27年度の税制改正後は、都心部では4人に1人に相続税が発生するといわれております。
そのため、お金持ちだけに関係する話ではなくなってきています。
特に、不動産や医療法人の出資持分等の財産をお持ちの先生は、今から準備が必要です。
それによって、ご家族様(相続人)が被る精神的・経済的ご負担が大きく軽減されることが期待できます。
医師個人の生前対策
生前対策には、大きく分けて以下の目的があります。
- 紛争予防 相続人様同士でもめないように対策を取ります。
- 相続税対策 相続税や相続費用の負担が軽くなるよう対策を取ります。
これら2つの生前対策について、以下で詳しくご説明さしあげます。
紛争予防
相続においては、亡くなられた方の遺志を示すためにも遺言書を残しておくことが紛争予防につながります。
医師に多いケース
相続財産に不動産や医療法人の出資持分などを多く占める場合、相続人の間での均等な分割が難しいことが多いです。
その結果、二次相続(すでに一方の配偶者が亡くなった後の子への相続)の際には紛争になりやすいのです。
遺言書がない状態で相続争いが起きてしまうと、相続人全員の合意がなければ遺産分割が完了できなくなってしまいます。
そして、「相続財産を使えない・相続税を個々の相続人の預貯金から支出しなければならない」等の不都合が生じることもあるのです。
そのためにも、お元気なうちから遺言書を作成しておくことをおすすめします。
遺言書の種類
遺言書の種類 |
公正証書遺言(おすすめ) |
自筆証書遺言 |
作成方法 |
公証役場にて作成します |
遺言者ご自身が自筆で作成します |
証人 |
2名必要(利害関係がない者) |
不要 |
保管 |
原本は公証役場が保管し、本人等は正本と謄本(写し)を保管 |
本人のほか、推定相続人、遺言執行者、受遺者、友人等 |
秘密性 |
公証役場、証人、行政書士等の遺言書作成に関わる者以外に対しては、遺言の存在、内容共に秘密にできます |
厳重な保管方法を取れば、遺言の存在・内容共に秘密にできます |
紛失・変造の 可能性 |
・紛失した場合は再発行が可能
・変造の可能性なし(原本は公証役場にて厳重に保管されるため) |
紛失・変造の可能性あり |
家庭裁判所に よる検認 |
不要(相続人の手間が減ります) |
必要(相続人にとって手間になります) |
主な メリット |
公証役場にて作成するため、内容が無効になることがなく、紛争防止に強い効力が期待できます |
ご自身一人で完結するため、素早く手軽に作成できます |
主な デメリット |
費用がかかります |
専門家による作成ではないため、遺言の要件を満たさず無効になる可能性があり、紛争の火種を残すことにつながります |
上記のほか、「秘密証書遺言」という形式もあります。
これは、遺言書を作成し(代筆やパソコンでの作成も可)、それに署名押印して、封書に入れて印鑑で封印したのちに、公証役場に持参する形式です。
封印するので秘密が守られるという趣旨ですが、秘密を守るためなら、公正証書遺言や自筆証書遺言でも可能です。
また、過去の法改正により、秘密証書遺言を利用する利点が失われました。
利点が失われた現在、秘密証書遺言の作成事例はほとんどありません。
そのため、通常は公正証書遺言か自筆証書遺言の形がとられています。
おすすめの遺言形式
公正証書遺言の形で作られますことを強くおすすめします。
公正証書遺言は、自筆証書遺言よりも確実性が高いです。
そのため、紛争防止の強い効力が期待でき、遺言を遺される方の思いをそのまま実現することに大きく役立ちます。
そして、相続手続きの中で「家庭裁判所の検認」が不要になり、相続人様のご負担も軽くなります。
当事務所は、医師の遺産相続を専門に扱っておりますので、医師特有の医療法人の出資持分の評価・振り分け、今後の病院の運営・承継やご遺族への思い等も踏まえ、最適な遺言書を相談しながらご一緒に作成いたします。
詳しくはこちらからお問い合わせください。
相続税対策
以下にあてはまる先生の場合、相続税対策が重要です。
- 不動産を持っている
- 出資金持分がある
- クリニック(法人)から先生個人が貸付を受けている財産等がある
- その他 大きい財産を持っている
相続税は、原則として相続開始(お亡くなりになった時点)から10カ月以内に現金で一括納付する必要があります。
特に先生方がお持ちの不動産や医療法人の出資持分等は高額に評価されることもあります。
その場合の現金化が非常に困難という特殊性があります。
また、十分な現金がある場合でも二次相続の際は、配偶者の税額軽減措置がありません。
この場合、相続税の負担が高額となるケースをよくみられます。
そのため、事前に相続財産や納税額を把握し、これに見合う納税資金を準備し、節税対策を講じておく必要があります。
相続税対策における検討事項
- 財産評価
- 相続税額計算
- 具体的な節税対策
この3つを検討する必要があります。
税額計算例
税額計算例[eg.資産合計3億円、夫(被相続人)、妻、子供2人(相続人)]
一次相続(夫が死亡)の場合
【平成27年税法改正前】
・3億円ー(5000万円+法定相続人数×1000万円)=2億2千万円
・2億2000万円×各法定相続分(妻2分の1、子供各4分の1)
・妻:1億1000万円×40%-1700万円=2700万円(ただし配偶者の税額軽減あり)
・子供各:5500万円×30%-700万円=各950万円
⇒ 納税額1900万円
【平成27年税法改正後】
・3億円ー(3000万円+法定相続人数×600万円)=2億5200万円
・2億5200万円×各法定相続分(妻2分の1、子供各4分の1)
・妻:1億2600万円×40%-1700万円=3340万円(ただし配偶者の税額軽減あり)
・子供各:6300万円×30%-700万円=各1190万円
⇒ 納税額2380万円
【ご注意】
特に、二次相続(夫死亡後に妻が死亡)の場合には、上記の「配偶者の税額軽減」が利用できず、子供の相続税のご負担が大きくなります。
節税対策の基本
節税対策の基本は、相続財産(課税対象額)を圧縮することです。
主な圧縮方法としては以下のとおりです。
- 生前贈与の利用
・贈与税の非課税枠の効率的な利用
・契約書の作成
・金銭贈与以外の方法の検討など
- 不動産の利用
・不動産を利用した相続財産の圧縮など
- 生命保険の利用
・遺産分割を行うことなく特定の相続人に確実に財産を渡す方法の検討
・生命保険を利用して納税資金を準備するなど
これらの方法は、財産の種類や目的に応じて適切に組み合わせて利用する必要があります。
詳しくはこちらからお問い合わせください。
元医療法人事務局長で医療関係者様の相続に特化した私が、税理士・弁護士・司法書士等の関連他士業と連携しつつ、おひとりおひとりに最適なプランをご提案いたします。
ご利用料金
相談
1回当たり10,000円(消費税別)
時間無制限です! 思う存分ご相談ください。
■ 相談料無料につきまして
上記の生前対策をご依頼いただいた場合、相談料が無料になります(ご利用料金に充当されます)。
生前対策
各生前対策の組み合わせにより、ご利用料金が変動いたします。
詳しくはお問い合わせください。
実費費用
生前対策を進めるうえで、戸籍簿や登記簿等の公簿取得費用、交通費等の費用が発生する場合があります。
その費用につきましては、実費にて請求申し上げます。
なお、通信費や片道1,000円以下の交通費につきましては、当事務所が負担いたします。
行政書士・ファイナンシャルプランナーに関わらない業務について
下記業務が発生する場合は、それぞれの専門家と連携して解決を目指します。
- 不動産の登記手続き → 司法書士
- 具体的な税金の相談 → 税理士
この場合、その専門家へのご依頼が必要になるため、別途のご利用料金が必要になります。